この夏、どん兵衛の新商品「スパイシー豚カレーうどん」が仕掛けているのは、『もう戻らない刺激的(スパイシー)な夏』をテーマにしたプロモーション。
通り雨、二人乗りの帰り道、花火大会など、友達以上恋人未満の高校生が過ごす夏のさまざまなシチュエーションを、イラストとコピーで切り取っています。
しかも、ブランドサイトでは一歩踏み込んで、イラストだけでは満足できない人への音声サービス「どん兵衛刺激的な夏カスタマーセンター」を開設。ナビダイヤルに電話すると、相手役に扮した声優さんの声で、夏のシチュエーションを疑似体験できるようにしています。
どんな広告にも言えることだと思うんですが、受け取る人の「原体験」に結びついているものは、強い共感を生みます。なぜなら、自分の記憶と紐付けることで、心の深い部分とメッセージがリンクするから。
水面に水滴をひとつ落としたように、忘れていたものを次々に思い出したりする。
そういった自分の内面が商品やサービスと結びついて、「あぁ、これいいな」という共感が育まれるんです。
面白いのは、全く同じシチュエーションを体験していなくても、このリンクが生まれること。
浮いた話のない高校生活を過ごしていた僕ですら、高校生の時、部活帰りにみんなで食べたかき氷の味をリアルに思い出したりして、なんだか懐かし切ない気分になりました。
この内面からの共感を生み出すために、僕自身、広告づくりや取材でヒアリングをする時には必ず、クライアントさんの持っている「原体験」について聴くようにしています。一見関係のない話から、商品やサービスの魅力がぐっと引き出されたり、なぜそういうことをするのか、という軸のようなものが浮き彫りになったります。
伝えたい人が大事にしているものと、受け取り手が持っている原体験。その重なり合う部分を探していくことが面白くて心揺さぶられるから、この仕事をしているのかもなぁ…なんて事を思ったりしました。
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